ディスカッションの風景

総論

人間は生まれながらにして生命、自由、身体の安全に対する権利を持っている。しかしながら、今日の世界では 発展途上国をはじめとして深刻な貧困が存在し、それによりこれらの権利が必ずしも保障されているとは言えな いのが現状である。先進国には植民地時代の人的・物的搾取で途上国に貧困をもたらした責任があるとともに、 グローバル化が進む現代にあっては、一途上国の問題が国際社会全体に波及するため、安全保障の観点からも貧 困解決に努める必要がある。我々は、貧困―人間が人間としての基礎的生活を送るための潜在能力を発揮する機 会が剥奪されており、併せて社会や開発プロセスから除外されている状態―を解決し、人々が自らの必要と関心 に応じて生産的かつ創造的な人生を開拓できるような環境を創る手段としての「開発」を考える。

貧困解決のためには複数の要素を同時進行的に機能させる必要がある。とりわけ、個人と社会の基盤を築くため に、短・中期的開発援助として食糧・保健衛生、中・長期的開発援助として教育・ガバナンスの四つへのアプロ ーチが重要である。第一に、食糧確保の問題である。個人が食糧不足による栄養失調状態にあっては、免疫力が 低下し、新たな病気を防ぐことも困難である。また、栄養不足は学習能力の低下や労働力の低下を招く。そのた め食糧事情の改善が急務である。第二に、保健衛生問題である。人間にとって水は必要不可欠であるにも関わら ず、途上国では衛生的な水が手に入らず、不衛生な水環境の下で生活することで病気を引き起こし、命を落とす 人々が数多く存在する。救うことのできる命を守るために衛生環境の改善も早急に求められる。第三に、教育開 発である。自らの考えをもって社会に参加し、新たな技術を習得するために教育の向上は欠かせない。また、民 主主義を担う国家の人材を育てるという点で、社会基盤を整えるためにも教育が重要である。第四に、ガバナン スの構築である。ここでは特に、民主主義の構築と政治参加の推進を取り上げたい。途上国が自らの力で当該地 域の人々を支え、貧困から抜け出すための政策を実現すべく、個人の意志を反映させるシステムの構築が必要で ある。これらの四点に向けたアプローチは、これまで多くの国際機関・国家・NGO等が莫大な時間・資金・労力を かけて行なってきた。しかしながら、四つの要素それぞれが脆弱なために「貧困の環」という悪循環から未だに 抜け出せていない。貧困解決のために、まずはこれら四要素を達成していくことがぜひとも求められる。

当分科会は以上の問題意識に基づき、2000年に採択されたミレニアム開発目標の折り返し地点を迎えた今、食糧・ 保健衛生・教育・ガバナンスについて議論し、改めて貧困解決のアプローチについて考えていきたい。

貧困に苦しむ人の笑顔のために・・・

スタッフリスト



チーフ:長谷川霞 慶應義塾大学法学部政治学科1年

庄司佳織 立教大学法学部政治学科3年

井上沙聡 東京医療保健大学看護学科2年

名塩結 立教大学法学部国際ビジネス法学科2年